ディラックのデルタ関数は次の2式でされる超関数だね。
\begin{align}
\int _{-\infty}^{\infty}f(x)\delta(x)dx=f(0) \ \ \ , \ \ \ \int _{-\infty}^{\infty}\delta(x)dx=1
\end{align}
一方、ヘビサイト関数(ステップ関数)は
\begin{align}
\sigma(x) = \left\{ \matrix{ 1 & \cdots & x>0 \cr 0 & \cdots & x<0 } \right.
\end{align}
で定義される不連続な関数だけれども、このヘビサイト関数の導関数 $d\sigma'(x) =\sigma/dx$ はディラックのデルタ関数と一致するよ。
証明
ヘビサイト関数の導関数 $d\sigma'(x)$ がディラックのデルタ関数の定義式を満たすことを示すよ。
\begin{align}
\int _{-\infty}^{\infty}f(x)\sigma'(x)dx=f(0) \ \ \ , \ \ \ \int _{-\infty}^{\infty}\sigma'(x)dx=1
\end{align}
まず第2式からだけれどもこれはほぼ自明だね。
\begin{align}
\int _{-\infty}^{\infty}\sigma'(x)dx = \left[\sigma(x)\right]_{-\infty}^\infty = 1
\end{align}
次に第2式だけれども、積分区間を極限操作を用いて有限区間に置き換えておくことで計算することができるね。
\begin{align}
\int _{-\infty}^{\infty}f(x)\sigma'(x)dx &= \lim\limits_{\epsilon\to \infty} \int _{-\epsilon}^{\epsilon}f(x)\sigma'(x)dx = \lim\limits_{\epsilon\to \infty} \left\{ \left[f(x)\sigma(x)\right]_{-\epsilon}^\epsilon – \int_{-\epsilon}^{\epsilon}f'(x)\sigma(x) dx \right\}\\
& = \lim\limits_{\epsilon\to \infty} \left\{ f(\epsilon) – \int _{0}^{\epsilon}f'(x) dx \right\} = \lim\limits_{\epsilon\to \infty} \left\{ f(\epsilon) – [f(x)]_0^{\epsilon} \right\}\\
& = f(0)
\end{align}
確かにディラックのデルタ関数の定義式を満たすね。つまり、ヘビサイト関数とディラックのデルタ関数は
\begin{align}
\frac{d\sigma(x)}{dx} = \delta(x)
\end{align}
の関係を満たすね。
最後の式変形がよく分からないのですが、何故f(ε)がそのまま出てきたのでしょうか